こんにちは。あけましておめでとうございます。
きょうですが、立教大学文芸思想学科後期演習発表があります。
「アウステルリッツ フラグメンツ」(原作 W・G ゼーバルト)
13時15分から 立教大学池袋キャンパス11号館一階101(模擬法廷教室) 入場無料
前期の「ブレヒトオラトリオ」につづき、脚本、演出、作曲をしました。今期は、来月の「デデコルクト」初演のためにドイツ滞在が多かったので、授業は半分くらいしか参加できず、生徒もメンバー一新で、まだまだ未完成ですが、なかなか面白い作品になる可能性を秘めているので、発展させながらまた別の形でも発表できたら、と思います。今期もまた、今までとは違う個性あふれる生徒のみなさんです。メインが就職活動の時期によくがんばってくれました。12月の「デデコルクト」リハーサルのためのベルリン滞在では、リハーサルが終わって夜中は、この作品のために歌、合唱の作曲をしたり。ホテルは旧東側ヴァイセンゼというところの、湖とユダヤ人墓地のすぐそば。ユダヤ人の詩人パウル・ツェランの詩を用いて、この作品のために深夜や早朝に作曲しました。早朝の霧深い湖畔を歩きながらメロディをたしかめてみたり。朝4時頃のskype授業もありました(笑)。
原作の「アウステルリッツ 」は、「私」が、旅先で出会った建築史家アウステルリッツの自らの過去、ホロコーストに、執拗にその細部を漂いながらたどる語りを聞き書きする文体の、夢幻的な散文小説です。今回は、ラジオドラマの公開収録という設定で台本を書きました。いつものことですが、演劇や舞台表現系の学科ではないので、、ほとんどの学生は特に、なにかを舞台の上で「演じたい」「表現したい」という欲求を前提に授業を登録するわけではないので、はじめは??の状態ですが、その学生たちが、わりとすぐに早い段階でこの非日常と日常のはざまにあるような時間に、それぞれの個性で応じてくることにはいつも驚きです。そしてその応じ方のそれぞれがすべて新鮮です。
一方で、9月に初演した音楽劇「地獄門」の再演(というよりかなりの改作が予定されています)。こちらは、授業とは異なり、明確に演じること、表現することへの欲求をもった、芸能プロダクションに集った役者や役者志望の方々との作業。私自身も、きっと何かを表現せずにはいられなくて、大学生の頃楽器をはじめたので、喜びに先立つそこでの自我の苦しみのようなものは、わかるつもり。学生の発表とは対照的。でもみなさんの元気いっぱいの歌が、作曲した私にとっては、嬉し恥ずかし、でいつも感謝しながら稽古しています。こちらのメンバーが初演とはだいぶ入れ替わり、夏に作った曲たちや新曲を、また新しいメンバーで稽古し直しています。私は「デデコルクト」の初演のため本番に参加できないので、音楽監督と作曲のみでの参加。ギターの小沢あきさん、コントラバスの服部将典さんに新たに参加してもらい助けてもらっています。このお二方は強力すぎます。そしてヴァイオリンも加わり、ほかソプラノ、ピアノ、尺八、鼓でのアンサンブルになります。
Yプロジェクト 「地獄門」
【脚本・演出】今井尋也 【音楽】河崎純
大正時代、東京。西洋の文化が怒濤のように流れ込んでくる時代。
キャバレーやオペラ、文学など新しい和洋折衷文化が生まれる。
売れっ子作家の‘渋谷寛’は妻と別居して、女優の‘松井すまほ’と共に「渋谷歌劇団」を立ち上げる。
一方、ポール=クローデルは仏蘭西駐日大使として妻子と共に来日。
ポールの姉であり、彫刻家ロダンの愛人カミーユからの手紙を心待ちにしていた。
ある日ポールは、‘すまほ’が主演する舞台「地獄門」を観劇、一目で‘すまほ’に恋をする。
その舞台上演中に関東大震災が発生する。
恋人達の運命は激しく絡み合いながら愛の軌跡を描く。
2月3日(月)pm7:00開演
4日(火)pm2:00 7:00 2回公演
前売り 自由席3500円
指定席4000円
当日 自由席のみ4000円
会場:渋谷区文化総合センター大和田6F伝承ホール
そんなかで、久しぶりのギターの近藤秀秋さんのレコーディングに参加。曲はアルハン・ベルクの「ここには平安がある」と、マイルス・デヴィスの「blue in green」、それから近藤さん作の即興主体の琵琶とのアンサンブル、とまったく異なる性格の3曲。複雑で緻密な器楽音楽と向き合うのは久しぶりの感触。
この正月は、歌の作曲やアレンジと、一方で器楽音楽の厳しさのようなものを再認識させられる日々でした。
また1年が始まってしまった。心身ともに健やかに過ごしたいものです。
うわっ、こんなことを書いてたら、もう出かける時間になってしまった、、。13時15分スタートです。ぜひ立教大学に遊びにきてください。
本年もよろしくお願いいたします!!