先月6月30日の王子の劇場にひきつづき、もう一度CDの発売記念のコンサートをすることになりました。おかげさまで、CDのほうは好評いただき、ほんとうに作ってよかったと思えました。良い音を時間をかけて丁寧に収めて下さった亀吉スタジオの上田隆志さんに改めて感謝です。ここのところ、半音の半分1/4の微分音程を含むアラブ音楽のさまざまなマカーム(旋法)を家で弾いています。トルコにも3度行き、独奏楽器として単旋律をソロでひいているのに、これまでどうしてあまり関心を持たなかったのか自分でも不思議なくらいです。
7月30日(火)
西荻窪 音や金時
OPEN 18:30 / START 19:30 2300円
http://www2.u-netsurf.ne.jp/~otokin/
杉並区西荻北2-2-14 喜志コーポB1
TEL: 03-5382-2020
西荻窪駅北口徒歩3分
お問い合わせ kawasaki_jun6@r7.dion.ne.jp
この夏は進行中のプロジェクトも含めいろいろです。きちんと作業日誌を備忘録として書き留めておきたいのですが、どうも日々の締めくくりは疲れはてているか、酔いつかれているかで、、。
7月の19〜21は明大前のキッドアイラックホールで舞踏の小林嵯峨さんの公演の音楽。20代の頃は随分舞踏の公演に関わってきましたが、最近はあまり積極的ではありませんでした。あらためて考えてみると、踊りと言葉の関係が私には理解できなかったからかも知れません。というより、土方巽や大野一雄の言葉、言語感覚は引力が強すぎて、音楽家である私がその魔術のような言語に惹き寄せられてはいけない、というような気がはたらいていたのかもしれません。言葉からはなれたくて音楽をはじめ、踊りとの共演に満足していた私が、ふと、そこに言語の支配を強く感じてしまったのです、しかも土方巽のような超ハイパー言語。今回は、土方巽の振り付けで踊っていた小林嵯峨さんからの依頼。自分なりにいま舞踏という表現に向き合いなおす機会であるとも思いました。この春お話をいただいたとき、まずはじめに個人的に行った作業ははインターネットの芥正彦さんのホームページにのっていた、芥さんと土方さん、山口昌男さんなどの対談を朗読してみることでした。音声の強度。声の舞踏。嵯峨さんの稽古場でも何度かリハーサル。陳腐な言い方になってしまいますが、不思議な嵯峨ワールドです!昨日稽古の様子をあらためてビデオでもみさせていただき、驚きでした。幽霊。ベルメール。とらえどころがない。とらえてはいけないのかも知れません。この答えのでない感じが、恐ろしくも心地よくもあります。
(公演情報)
http://blog.livedoor.jp/kidailack-schedule/
http://kobayashi-saga.sub.jp/text.html
踊りといえば、この2月までトルコのコレオグラファーアイディン・テキャルさんとの「db-ll-bass」は、新たなユニット「khkhs」として、展開を模索しはじめました。冬頃には新作を発表できる予定です。現在、芥川龍之介版「桃太郎」をテクストに旧知の国広和毅さん、プロデューサー、舞台監督、照明家とアイデアを出し合いながら作品をつくっています。これは、実はアイディンさんとの作品をつくりはじめる前に私が勝手に思い浮かべていたシアターミュージック作品にかなり近いかもしれません。だいぶシアトリカルな要素が増えそうです。
芥川といえば、偶然、ある芸能プロダクションの音楽劇公演の音楽監督を依頼され、芥川の「袈裟と盛遠」という作品(戯曲では菊池寛「袈裟の良人」)映画として衣笠貞之助監督の「地獄門」、それからフランスのロダン、カミュ・クローデル作成の地獄門をモチーフにした作品、背景を重ね合わせてゆく。演奏家の方はすでに決定していましたので、メゾソプラノ、邦楽器など。9月5日渋谷伝承ホールにて。急な依頼ですべて新曲をつくることは難しいので、役者の方々が歌う歌を中心に作曲。あとは、既存曲を組み合わせて。まずは、最近はほとんど縁のない、フランス近代歌曲をやまほど聴いて、公演の内容にあう言葉や曲をみつけてゆく作業。作曲は台本があがらないのでまだ。でもひさしぶりに歌をたくさん作曲することになりそうで楽しみです。
台本といえば。今期の立教大学文芸思想学科の演習発表は、ブレヒトの前期と後期の詩を構成して、台本をつくり演出している「ブレヒトオラトリオ」を7月16日、授業内で発表。9月16日は、有志でブラッシュアップして王子の劇場で課外発表。これで3期目ですが、毎回作り方を変えています。今回は朗読あり、歌あり、身体パフォーマンスありの発表。毎回学生のポテンシャルの高さに驚きます。文芸思想学科という創作も重視する学科だからでしょうか。毎週パフォーマンスの稽古としては短い90分という、時間。短い時間で伝えることを、おかげさまでだいぶ鍛えられた気がします。授業内発表は来週の16日火曜15時半頃から。会場はいつも授業でつかっている池袋キャンパス11号館101という教室で、なんと模擬法廷室です。基本的に完全にオープンではないので、もしご興味ある方は私の方にご一報いただければ。私には学生たちが、愛すべき無意識の「喜劇役者」にみえてなりません。
ブレヒトといえば、ブレヒト/ロルカプロジェクト。9月30日の総集編(王子 PIT北/区域)。8月19日の#5(音や金時)に向けて、着々準備。近日WEBが公開されます!言葉のないブレヒト、歌のないロルカ。